ベテラン会計士のブログ

大塚家具騒動の結末

本日、大塚家具の株主総会が開催され、久美子社長陣営の勝利が報道されていますね。

今回は、この一連の騒動について、触れたいと思います。

報道では、経営権を巡った親子対決ということで、株主総会の委任状争奪にまで発展したと、かなり盛り上がっていました。ただ、真の論点は少々ずれているような気がしています。

父親の大塚勝久会長は、大塚家具の創業者であり、会員制の導入という手法を用い、成長させた自負があり、大塚家具の良さを持続したい思いが強く、娘の久美子社長の現実路線に反発しているのだろうと思います。一方で、久美子社長は、リーマンショック後の3期連続赤字を解消しているという実績があり、さらに回復を目指すための大きな経営転換を目指そうと必死なのだと思います。両者ともに会社のことを経営者として必死に考えた末の結果なのでしょう。

ニトリやIKEAといった家具店がブームになっている昨今のことを考えると、久美子社長の意見は、現実的なのだろうと思いますし、今自分が家具を選ぶときは、ニトリやIKEAに行くだろうと思います。ただ、一方で大塚家具のような家具店は他にはない手法ですので、独自路線を貫くというのもひとつの選択なのだと思います。

そういう観点から、個人的には、両方が正解なのだと思います。勝久会長はかつての手法を貫き、久美子社長は、自分の経営を信じ、お互い競争していくことでその結果を以て決着をつけるのが資本主義社会においては、正常な解決方法なのだろうと思います。まあ、株主総会での決着も資本主義社会といえばそうなのですが・・・。

ただ、一方で起業するという覚悟は、起業した人にしかわからないと思いますし、その中でも成功する会社はほんのひと握りですよね。そういう観点からすれば、勝久会長に対する尊敬の念は忘れてはいけないのでしょうね。忘れてないのかもしれませんが、報道を見ている限りでは、残念ながら尊敬という文字は見えてこないですね・・・。まあ、報道の仕方にも多少問題があるかもしれませんが・・。

最後に、この騒動で最も残念でならないのは、マスコミの前で、また、株主総会を巻き込んで親子ゲンカ(に見えてしまう)をしている場合ではないような気がしてなりません・・・。それをお二人は、当然わかっているのだと思いますが・・(総会の中でも陳謝していたようですが)。

勝久会長は、経営陣として退かなければならなくなりましたが、創業の時の思いがまだある方なんだろうと伺えるので、ここで奮起して久美子社長と新会社の設立等でも進めていただき、事業で戦って欲しいと願っています。


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