でんた丸ブログ
法人税率における基本税率と軽減税率
前回、法人税率における基本税率を取り上げました。しかし、法人によっては基本税率23.2%ではない軽減税率が適用される場合があります。今回は、どのような法人に対して、どのような形で軽減税率が適用されるのかをみていきます。
法人は内国法人と外国法人にまず区分され、前者は所得の源泉地を問わず、全ての所得について納税義務を負うことになります(法人税法(以下省略)4条1項、5条)。一方で、後者は、国内源泉所得(138条)についてのみ納税義務を負います(4条3項、8条)。ここでは内国法人に絞って解説します。
内国法人は以下のように区分されます(2条5~9号)。
① 中小法人以外の普通法人と、中小法人(66条2項、5項参照)
②-1 一般社団法人等(別表第2に掲げる非営利型の一般社団法人および一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人。これらは全て公益法人等に含まれます。定義規定:66条1項第1かっこ書。)
※ 公益認定を受けていない一般社団法人・一般財団法人のうち、非営利型法人以外の法人は、普通法人(上記①)として取り扱われます(注1)。
②-2 人格のない社団等(マンション管理組合など)
③-1 一般社団法人等以外の公益法人等(学校法人、宗教法人、商工会議所、日本公認会計士協会など)
③-2 協同組合等(農業協同組合、信用金庫など)
④ 公共法人(地方公共団体など)
【納税義務の範囲】
1.公共法人(上記④)
公共性の高さゆえに、法人税を納める義務はありません(4条2項)。
2.公益法人等(上記②-1と③-1)、人格のない社団等(上記②-2)
収益事業から生じた所得のみが課税対象となります(4条1項但書、6条)。
3.その他の法人(上記①と③-2)
全所得が課税対象です(4条1項本文)。
【税率】
1.上記①、②について
・66条1項により、23.2%の基本税率が適用されます。
・ただし、66条2項により、普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの(若しくは資本若しくは出資を有しないもの)又は人格のない社団等で、所得年800万円以下の部分は、19%の軽減税率が適用されます。もっとも、66条5項による一定の例外があります。
➡ 下記3.のとおり、所得年800万円以下の部分は、租税特別措置法により19%の軽減税率は更に低くなり15%となります。
2.上記③について
66条3項により、軽減税率19%が適用されます。
➡ 下記3.のとおり、所得年800万円以下の部分は、租税特別措置法により19%の軽減税率は更に低くなり15%となります。
3.租税特別措置法における「法人税法の特例」
租税特別措置法42条の3の2により、上記①のうちの中小法人及び上記②、③については、政策的に、所得年800万円以下の部分において、軽減税率の特例として、15%(ただし、所得の金額が年10億円を超える事業年度については、17%)の法人税率が時限的に適用されています。
(注1)公益法人等(定義規定:2条6号)に含まれない、つまり別表第2に掲げられていない、非営利型ではない一般社団法人および一般財団法人は、普通法人(定義規定:2条9号)に区分される点にご注意ください。
(注2)人格のない社団等(2条8号)は、3条により法人税法上は法人とみなされます。また、人格のない社団等の概念は、いわゆる権利能力のない社団または財団という私法上の概念と同義とされています。
なお、人格のない社団等には民法上の組合(民法667条)や匿名組合(商法535条)は含まれません(法人税基本通達1-1-1)。