でんた丸ブログ
ハロルド・モスとシャウプ勧告
ハロルド・モスについては、令和7年4月14日付け本ブログにおいて、昭和24年6月の国税庁の開庁式の祝辞で国税庁のスローガンとして「Respect among the honest; Fear among the dishonest(正直者には尊敬の的、悪徳者には畏怖の的)」と述べた人物として紹介いたしました。
ハロルド・モスは、当時、GHQ経済科学局内国歳入課長の職にあり、シャウプ使節団(ダグラス・マッカーサー占領軍総司令官がアメリカから招待した税制使節団)の編成と来日の準備・手配をしました。その後、昭和24年5月10日に来日したシャウプ使節団は、日本の税制と税務行政について同年8月26日まで日本に滞在して調査を行い、同年9月15日に「シャウプ使節団第一次日本税制報告書」いわゆるシャウプ勧告を公表しました。シャウプ勧告のシャウプというのは、シャウプ使節団の団長を務めたカール・シャウプという人の名前からとられており、当時46歳でコロンビア大学経済学部の教授の職にあった財政学者、租税理論家です。
シャウプ博士は、1972年に22年ぶりに再来日した際に行った講演の中で、当時実施した日本の税制と税務行政に関する調査について回顧し、次のように述べています。「地方旅行の際に、わたしどもはあちらこちらに長い車の列を止めまして、たとえば、日本の農村でお百姓さんが働いていると、そこで農民の方々にじかに日本の税をどう思うかとよく聞いたものです。私どもは、こういうことをしながら、いわば直接の、なまで、じかの国民の声を聞こうというふうに努めたわけであります。こういうことによって、日本の税制のかかえている問題点というものに対して、何らかの本質的な直感と申しますか、そういうものを得ることができたように思います。」(大蔵省広報誌『ファイナンス』1972年12月号)。