でんた丸ブログ
租税法研究は科学か宗教か
前回、租税法研究を社会科学の一分野と位置付けて、租税法研究の本場は米国であると述べましたが、租税法研究を含む法学を科学だというと違和感を感じる人が一定数おられて、そのような方々は法学を宗教のようなものと思っているようなところがあります。
ここで面白い話があるので、ご紹介いたします。1955年頃に、アイゼンハワー大統領顧問を務めるなど、世界的に著名な行政法学者であるW.Gellhornコロンビア大学ロースクール教授兼東大客員教授が来日した際に、スタッフ・セミナーが設けられました。当時、日本には同じく行政法学者として田中二郎先生(1906~1982)がおられ、そのセミナーの参加者が、事あるたびに「田中教授の説によれば」とか「行政法の権威である田中教授によれば」と言ったそうです。それを聞いたW.Gellhorn教授は、そのたびに不快感を示し、「田中先生はgeneralissimoか」とつぶやいたそうです。米国では、「Authorityという言葉は、教授に対しては使わず、強制通用力を有する最高裁の判決か行政決定に対してしか使わない」というのが背景にあったようです。