でんた丸ブログ

AIの限界

前回は、AIが仕事の生産性を高めるというプラスの側面について書きました。コンピュータは昔から計算や記憶が得意ではありましたが、最近では、大規模言語モデル(LLM)を用いた生成AIが登場し、人間に近い流暢な会話をすることまで可能となりました。

しかし、AIは手段にすぎず、またAIに限界があるのも事実です。生成AIは、過去の膨大な人間活動や知識を学習しますが、まず、その学習元となる膨大なデータの信頼性を評価する必要があります。更に、ディープラーニング(深層学習)をした生成AIが平然と事実と異なる答えを導き出してしまうhallucination(ハルシネーション、幻覚)と呼ばれる現象も生じるために、生成AIの出力内容の信頼性を人間が評価する必要があります。生成AIの出力内容には偏りや虚偽が平然と紛れ込んでいるという事実があるため、生成AIがどのような情報を学習した上で、どのような出力過程を経て出力をしているのかを正しく理解して利用しなければなりません。

生成AIを上手に利用して、より人間らしい経済の姿を築き、人間らしい生活を享受することが重要なことであり、それが目的、Visionです。そうすると、「人間とは何か」ということが問われ、それについて各人が考えていく必要があります。例えば、倫理(生き方の中で中心にあるもの、モラル)観といったものは生成AIには備わっておらず、人間に備わっているものです。また、人間一人一人が、機械とならずに自分の頭で考え、意思をもって行動したり、コミュニケーションする、というのもAIにはできない人間の特徴です。まさに生成AIの登場は、18世紀後半にイギリスで起こった産業革命だけでなく、人間の精神を解放した「ルネサンス」(14~16世紀のヨーロッパで、中世のしきたりに囚われず、人間らしさを求めた新しい文化の動き)にもなぞらえることができるでしょう。


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